実は心理・心構えが一番大事だったりする。
まぁー考えてみれば当たり前だが、ピッチャーは心理状態でその日のピッチングが変わる。又、心理状態が試合の途中で変化すれば、それがピッチングに影響する、人間なので、当然か。
息子にもそれは教えたいと思う。ピッチャーは、「ノミの心臓」では無理、よくと言われるが、その通りだ、ブルペンエースも同じ原理だろう。ブルペンエース、って?思う人もいるだろうから、少しだけ解説しておこう、ブルペンとは練習中や試合前にピッチャーが投球練習する場所である。そのブルペンでは、そのチームのエースになれる位にすばらしい球を投げるが、いざ試合になるとそのすばらしい球は、なりを潜め、投げれば球は伸びず、コントロールは定まらず、などなど、エースと呼ぶには程遠い存在になってしまうのです。ですので、ブルペンに居る時だけエース =「ブルペンエース」となります。
この心理的な問題を解決するには、人それぞれ治療方法は違うと思うし、また、そのピッチャーとしての経験が無い、又は浅い人にそのブルペンエースにならない為の予防接種を考えてみたい。息子の場合は、まだ試合でマウンドに立って投げた事は、少ないので、どちらというと治療ではなく、予防接種になるかと思う。
「ピッチャーはね、守備に付いている選手の中で、1人だけ、攻撃してるんだよ。分かる?」(私)
いきなり、真髄を付いて話してしまった。
「・・・・・」(分かったような、分かってないような顔だぞぉー)(息子)
「守備に付く、って言葉を使うけど、ピッチャーだけは打者に向かっていく、つまり攻撃なんだ。」(私)
「だって、打者に向かって球を投げるよね? それって守備っていうより、攻撃じゃない!?」(私)
「そうだね!」(やっとピンときたかな)(息子)
「だから、ピッチャーは特別なの、そして偉いの。試合でも目立つでしょ!?」(私)
偉いという言葉は当てはまらないのは分かっているが、息子に対して理解してもらえる言葉として、この“偉いんだぞぉーっ”て言葉が息子には、グサっと印象に残るのではないかと思い、意図的に使ってみた。弱気にならないような心構えを作るには、これくらい大げさな言葉の方がいいではないかと私は思っているが、表現の仕方に違和感があれば、違う言葉を使って表現されてもいいかと思う。
「だからマウンドに上がったら、どんな球を投げて討ち取ってやろうか、なんて考えながら楽しく投げるんだ、打たれたって守備がいるんだし、取ってアウトにしてくれるよ、三振取れなくたって、次に取れるさ、くらいの気持ちで投げるといいよ。」(私)
「そして、三振なんか取れたら、チームのみんなも喜んでくれるよッ!」
「うん!」(息子)
「ピッチャーやるの、ワクワクするだろ!?」(私)
「うん、うん!」(息子)
「それそれ、その気持ちでマウンドに上がるんだ。」(私)
随分と稚拙な講義であったが、まだマウンドに実際に立った経験が少ない息子には、これ以上説明しても彼にはしっくりこないだろうと思って、先ずは良いイメージの先入観だけを植え付けた(つもりだ)。
今後、ピッチャーとしての場数を踏んで来たら、もう少し実践的な話をしてみたい。私としては、そっちの話を息子とする方が、断然楽しい、出来る日が待ち遠しい。
続く