またまた、ピッチャーとしての足の動き方・使い方の話だが、今回は左足に続き、右足である。
右ピッチャーとしての右足は、“軸足”である、勿論、大変重要な部分だ。投球フォームのバランスの崩れは、体の軸のブレである事も多いことから、右足の使い方を息子に教えてみた。
実際はプレートの踏み方もあるので、本当はマウンド上で教えるのが一番いいと思ったが、そんな都合の良い時間(日曜日の昼過ぎ)に球場が空いているわけがなく、自宅近くの公園にて教える事にした。従って、今回はプレートさばきのご指導はなしとした。(実践で投げるようになったら、また教えようと思う。)
右足の使い方で注意する点は、右ひざの動きである。右ひざを全く微動だにしないで投げるのは無理であるが、左足を高く上げようとして、勢いを付けるあまり、右ひざを深く曲げて投げる姿を見た事があるがコントロールをつけるという観点からはあまり関心しない。但し、これも人それぞれ、向き不向きがあるので、実際に深く右ひざを曲げて投げてもコントロールに問題がない人は、逆に左足を高く上げる面では効果的なので活用されるものであるかもしれない。私はどちらかというとコントロールは良い方ではなかったので、コースに投げ分けて討ち取るピッチャーには憧れた、が反面、球威で押さえてやる!という気持ちが強かったので、コントロールを良くする方法に付いてはあまり関心は無かった。
又、ここで私の高校時代の話を1つ。(まぁまぁーオヤジの昔話と思って聞いて下さい。)
私の所属していた高校は、春の選抜高校野球大会に出場した、いわゆる“春の甲子園”である。当時、先輩の一人にその後プロ野球スカウト(=ドラフト)された左バッターの強打者がいた。ホームランの数も当時の高校球児の中では全国1-2位だったはずだ。
私は、その先輩のバッティング練習の時に、バッティングピッチャーをするのが大変好きであった。一日に投げる球数は200球程度になるのだが、その先輩の順番が来るまで、7-8割の力具合で投げていた。(つまり、手抜き?だったかも、でも200球も全て全力投球できませんよぉー、毎日毎日は、ホントに)
そして、先輩の順番が回ってくると、「本気モード」である。心の中では「勝負!」と呟いていた、戦闘体制です。その先輩もそれを知っていて、打席に入ってくる。そして、私の投げるゲージ(これ分かりますかね? ゲージって言葉、バッティング練習の時に使用するんですが、バッターを正面以外覆うようにされたフェンスです。)に先輩が入って来たら、もう試合で自分が投げているかのような心境になります。さっきまでは、ただのバッティングピッチャーでしたが、今は違います、そう私は試合の中で投げているピッチャーの心境に、そして、一球入魂!
「(よっしゃー!)」(心の中で気合を入れて)(昔の私)
それから、大きく振りかぶって、ど真ん中にかまえられたキャッチャーのミット目がけて、
「シュッ!」(多分、球が指から離れる時の音)(昔の私の指の音)
「カシュッ!」「ヴィーン」(ファウルチップして球がゲージのネットに当たった音)
本日の1球目は、先輩が私の速い球になれていないのか、球の下をバットで叩いた。そして2級目。
「シュッ!」(またもや、球が指から離れる時の音)(昔の私の指の音)
「カッ!」(竹製のバットでセンター方向にライナー性の辺り。
私の所属していた野球部は、バッティング練習の際には、大会前や練習試合前の調整に入る前までは、竹製の少々思いバットで練習していた。(今思えば、あんな思いバット高校生になると振れるんだなぁー、高校生の肉体はすごいよぉー、中学生では年齢が1つの違いでも真似出来ませんもん。)
先輩は大体10球程度打ってから、次のゲージに移っていく、全部で3つのゲージを一度にグランドに置いてバッティング練習を行うので、バッティングピッチャーも一度に3人が必要であった。
本日の3-10球は、ヒット性の辺りが2本とまぁまぁの出来であった。但し、先輩は竹製の重いバットである事を考慮すると、やはり私の負けであった、、、、涙。
今後又、どこかで、この先輩との勝負に付いて書かせてもらいたい、私の高校野球の思い出として、この先輩は大きな存在であったし、私への影響も多分にあったからだ。
さて、さて、前振りが異常に長くなってしまったが、私がマウンドでバッティングピッチャーをした際に出来た左足の踏み出した跡は、キャッチャーに向かって引いた線上から、約足の幅1つ左にずれていた。これでも修正した結果である。(野球教室では、足の幅1つ分位はOKと指導しているので私もOKの範囲でしたね。)
修正前は、2つも3つもずれていた時がありました、これは上半身に頼って投げる、下半身を使っていない投げ方になっていました。左足が一塁方向に2つも3つもずれるという事は、投げる際に“体が開く”(という言葉を使います、野球用語では)状態になっていた、という事です。体が開くと折角溜めたパワーが球に乗らずに逃げてしまっていたのです。それを修正したのが、右足の使い方でした。(おっ、やっと本題になってきましたね、すみません。)速い球を投げたいが為に左足の振り上げを意識しすぎて、右足のひざを深く折り曲げて、その曲がりを伸ばすときの反動を利用して、左足を高く上げていたのでした。これを深く曲げないよう投球フォームを変えて、左足のでる位置を修正する事にしました。この修正に付いては誰も教えてくれませんでした、他のチームメイトもライバルですし、アドバイス出来るほど、みんな完成された投球フォームではありませんでしたので、ブルペンで投球練習をする先輩や同僚の姿を見て直しました。踏み出す左足のズレに気が付いたのは、先に少し書いたバッティングピッチャーをやっている時でした、前のバッティングピッチャーの投げた跡は、自分より真っ直ぐに踏み出されていたのです。
そんな教訓から、息子には、左足を真っ直ぐに踏み出すコツとして、更に投球時の体の中心がズレない(ぶれない)コツとして、右足のひざの曲げを深くならないように教えました。
「右足の使い方だけど、ひざを曲げて、その反動で左足を上げると良くない事が3つあるんだ。」(私)
「うん。」(息子)
「1つは、球を投げる時に、体の中心がぶれる事、2つ目は、キャッチャーを見る目が上下に動く事、そして最後は、踏み出した左足がキャッチャーに真っ直ぐに向かいにくくなる事。」(私)
「うん。」(息子)
「だから、こうやって左足を上げる時は、あまり深く右のひざを曲げないようにして。」(左足を胸の高さまで持ってきた状態で静止!)(私)
「OKわかった、やってみる。」(息子)
目の前にお手本があると、イメージが掴みやすいのか、私の縮小コピーのように同じ動作をやってみる息子であった。
「そうそう、そんな感じ、いいよ、それで。」(私)
ちょっとずつではあるが、ピッチャーの投球フォームになりつつある息子であった。
続く。