またまた、ピッチャーとしての足の動き方・使い方の話だが、今回は左足に続き、右足である。
右ピッチャーとしての右足は、“軸足”である、勿論、大変重要な部分だ。投球フォームのバランスの崩れは、体の軸のブレである事も多いことから、右足の使い方を息子に教えてみた。
実際はプレートの踏み方もあるので、本当はマウンド上で教えるのが一番いいと思ったが、そんな都合の良い時間(日曜日の昼過ぎ)に球場が空いているわけがなく、自宅近くの公園にて教える事にした。従って、今回はプレートさばきのご指導はなしとした。(実践で投げるようになったら、また教えようと思う。)
右足の使い方で注意する点は、右ひざの動きである。右ひざを全く微動だにしないで投げるのは無理であるが、左足を高く上げようとして、勢いを付けるあまり、右ひざを深く曲げて投げる姿を見た事があるがコントロールをつけるという観点からはあまり関心しない。但し、これも人それぞれ、向き不向きがあるので、実際に深く右ひざを曲げて投げてもコントロールに問題がない人は、逆に左足を高く上げる面では効果的なので活用されるものであるかもしれない。私はどちらかというとコントロールは良い方ではなかったので、コースに投げ分けて討ち取るピッチャーには憧れた、が反面、球威で押さえてやる!という気持ちが強かったので、コントロールを良くする方法に付いてはあまり関心は無かった。
又、ここで私の高校時代の話を1つ。(まぁまぁーオヤジの昔話と思って聞いて下さい。)
私の所属していた高校は、春の選抜高校野球大会に出場した、いわゆる“春の甲子園”である。当時、先輩の一人にその後プロ野球スカウト(=ドラフト)された左バッターの強打者がいた。ホームランの数も当時の高校球児の中では全国1-2位だったはずだ。
私は、その先輩のバッティング練習の時に、バッティングピッチャーをするのが大変好きであった。一日に投げる球数は200球程度になるのだが、その先輩の順番が来るまで、7-8割の力具合で投げていた。(つまり、手抜き?だったかも、でも200球も全て全力投球できませんよぉー、毎日毎日は、ホントに)
そして、先輩の順番が回ってくると、「本気モード」である。心の中では「勝負!」と呟いていた、戦闘体制です。その先輩もそれを知っていて、打席に入ってくる。そして、私の投げるゲージ(これ分かりますかね? ゲージって言葉、バッティング練習の時に使用するんですが、バッターを正面以外覆うようにされたフェンスです。)に先輩が入って来たら、もう試合で自分が投げているかのような心境になります。さっきまでは、ただのバッティングピッチャーでしたが、今は違います、そう私は試合の中で投げているピッチャーの心境に、そして、一球入魂!
「(よっしゃー!)」(心の中で気合を入れて)(昔の私)
それから、大きく振りかぶって、ど真ん中にかまえられたキャッチャーのミット目がけて、
「シュッ!」(多分、球が指から離れる時の音)(昔の私の指の音)
「カシュッ!」「ヴィーン」(ファウルチップして球がゲージのネットに当たった音)
本日の1球目は、先輩が私の速い球になれていないのか、球の下をバットで叩いた。そして2級目。
「シュッ!」(またもや、球が指から離れる時の音)(昔の私の指の音)
「カッ!」(竹製のバットでセンター方向にライナー性の辺り。
私の所属していた野球部は、バッティング練習の際には、大会前や練習試合前の調整に入る前までは、竹製の少々思いバットで練習していた。(今思えば、あんな思いバット高校生になると振れるんだなぁー、高校生の肉体はすごいよぉー、中学生では年齢が1つの違いでも真似出来ませんもん。)
先輩は大体10球程度打ってから、次のゲージに移っていく、全部で3つのゲージを一度にグランドに置いてバッティング練習を行うので、バッティングピッチャーも一度に3人が必要であった。
本日の3-10球は、ヒット性の辺りが2本とまぁまぁの出来であった。但し、先輩は竹製の重いバットである事を考慮すると、やはり私の負けであった、、、、涙。
今後又、どこかで、この先輩との勝負に付いて書かせてもらいたい、私の高校野球の思い出として、この先輩は大きな存在であったし、私への影響も多分にあったからだ。
さて、さて、前振りが異常に長くなってしまったが、私がマウンドでバッティングピッチャーをした際に出来た左足の踏み出した跡は、キャッチャーに向かって引いた線上から、約足の幅1つ左にずれていた。これでも修正した結果である。(野球教室では、足の幅1つ分位はOKと指導しているので私もOKの範囲でしたね。)
修正前は、2つも3つもずれていた時がありました、これは上半身に頼って投げる、下半身を使っていない投げ方になっていました。左足が一塁方向に2つも3つもずれるという事は、投げる際に“体が開く”(という言葉を使います、野球用語では)状態になっていた、という事です。体が開くと折角溜めたパワーが球に乗らずに逃げてしまっていたのです。それを修正したのが、右足の使い方でした。(おっ、やっと本題になってきましたね、すみません。)速い球を投げたいが為に左足の振り上げを意識しすぎて、右足のひざを深く折り曲げて、その曲がりを伸ばすときの反動を利用して、左足を高く上げていたのでした。これを深く曲げないよう投球フォームを変えて、左足のでる位置を修正する事にしました。この修正に付いては誰も教えてくれませんでした、他のチームメイトもライバルですし、アドバイス出来るほど、みんな完成された投球フォームではありませんでしたので、ブルペンで投球練習をする先輩や同僚の姿を見て直しました。踏み出す左足のズレに気が付いたのは、先に少し書いたバッティングピッチャーをやっている時でした、前のバッティングピッチャーの投げた跡は、自分より真っ直ぐに踏み出されていたのです。
そんな教訓から、息子には、左足を真っ直ぐに踏み出すコツとして、更に投球時の体の中心がズレない(ぶれない)コツとして、右足のひざの曲げを深くならないように教えました。
「右足の使い方だけど、ひざを曲げて、その反動で左足を上げると良くない事が3つあるんだ。」(私)
「うん。」(息子)
「1つは、球を投げる時に、体の中心がぶれる事、2つ目は、キャッチャーを見る目が上下に動く事、そして最後は、踏み出した左足がキャッチャーに真っ直ぐに向かいにくくなる事。」(私)
「うん。」(息子)
「だから、こうやって左足を上げる時は、あまり深く右のひざを曲げないようにして。」(左足を胸の高さまで持ってきた状態で静止!)(私)
「OKわかった、やってみる。」(息子)
目の前にお手本があると、イメージが掴みやすいのか、私の縮小コピーのように同じ動作をやってみる息子であった。
「そうそう、そんな感じ、いいよ、それで。」(私)
ちょっとずつではあるが、ピッチャーの投球フォームになりつつある息子であった。
続く。
ピッチャーの投げ方としての上半身の使い方は、少々ぎこちないが、まぁまぁー理想通りの動きをマスターした息子に今度は、実際に投球する際の左足の使い方を教えてみた。
全身の力の入れ具合は、ピッチャーそれぞれ勘所があると思う、このように書くとピンとくる人と全く意味が分からない人がいるかと思うので、少々解説してみたい。この解説はあくまでも、私の経験によるものなので、同じ感覚になって頂ける人もいれば、そうでない人もいるかと思うが悪しからず。
私が小学生・中学生の頃は、よくテレビでプロ野球の試合を見た。その時に、ピッチャーが打者に対して投球する場面が映し出されるが、それを見て、自分でテレビの前で真似をした事を覚えている。(さんまの小林投手の物まね、=少々古いですね(^_^; のようなものでした。)そういう時に、両手の振りかぶり方、右手の動き、左手の動き、それと左足の上げ方、色々なピッチャーがいるので、それぞれの試合の時に一応全て真似てみる、そうすると自分の投げ方(=自分のピッチングフォーム)にしっくりくるピッチャーがいるものだ。小さい頃は、速い球を投げるピッチャーの真似をした、憧れからだったと思う。私の場合は、左足の振り上げ方=左足の持ち上げ方に興味があったのだが、この時、左足のつま先を意識した。左足のつま先を地面に向けて、真上に引き上げるようにし、左ひざを胸の高さまで上げる。これと異なり、左足のつま先は、サード方向に向いたまま、左ひざを胸の高さまで上げる、これは逆にいうとやや左足のかかとが地面に向くようになる。
この2つの左足の上げ方を交互に行ってみると、私はつま先が地面に向くスタイルがしっくり来た。これはより左足のひざが胸の高さまで上がりやすく、体の中心がまっすぐになったように感じるのだ。そうすると次は、その体の中心がまっすぐになった感覚から、右腕の動きがスムーズに行えた。これは筋肉の動きがどこかで繋がっているせいだろうか? 理論は分からないが、ピッチャーの投球フォームの感覚というものは、そんな曖昧なものである。この感覚を掴んでもらおうと思い、息子にも左足の上げ方・使い方に付いて教えてみた。
「両手を振りかぶって、左足を上げる時に、左足のつま先を地面に向けて、納豆の糸が引くようにゆっくり引き上げてごらん。」(私)
「左足のひざが自分の胸の高さまで上がるようにするんだよ。」(私)
実際に、その動作を息子の前で見せてみると
「うん。」(私の動作を真似る。)(息子)
真似てはいるが、当然足腰が弱いので、左足を胸まで上げる内に、体はフラフラしている。まぁー仕方がない、私もそうだった事を覚えている。(高校1年位までフラフラしていたような、、、。)
「そんな感じ!」(私)
「今度は引き上げた左足をゆっくり下ろすんだけど、多少お尻をキャッチャーに向けるようにする。そして、下ろした左足は真っ直ぐキャッチャーの向きに踏み出す。」
息子の前から私に向かって、地面に線を書いた。
「この線に左足が乗るように投げるんだよ。」(私)
「うん。」(息子)
もう一度、やってみる息子、練習の時は、その事だけを意識しているせいか、上手く線の上に左足が載っているようだ。
色々教えたが、子供は体に癖があまり無いので、吸収が早いが忘れるのも早い。キャッチボールの時も踏み出した左足は投げる目標に向かって一直線がいいだよ、と息子に伝えた。
続く。
第11回
では、ピッチャーとしての投げ方を教えてみよう。
(左腕の使い方編)
右腕を効率よく振る為の左腕の使い方、前回のスナップスローで右肘の使い方のコツを掴んだ息子に、引き続き、左手の使い方を教えた。5-6mの近距離でのスナップスローでは、右肘の使い方=右腕の動きを覚えた息子に今度は、左手の使い方を教えてみた。先ずは、、、、、。
「気を付け、の姿勢をしてみて!」(私)
「グローブを持った左手は、気を付けの位置のまま、スナップスローをしてみよう。」(私)
「両足を肩幅位に開いて、右肘の動きに気を付けて、オーバースローねぇー!」(私)
「うん」(息子)
「んしょぉー!」(息子)
4-5球、同じ要領で投げさせてから
「投げ難いでしょ?!」(私)
「う、うん」(息子)
「どうしてか分かる?」(私)
「うーん、分かんない。」(息子)
「人間の脳は、左右別々の動きをするのが苦手なんだよ、右手でグー、チョキ、パー、左手でパー、グー、チョキって、両手を前に出して、やってごらん。」(私)
「うーん、、、あれー?!。」(グー、チョキ、パーと左右の手でやってる。)(息子)
「ね! 難しいでしょ! でも両手共にグー、チョキ、パーだったら簡単でしょ!」(私)
「うん、出来る、簡単!」
「だから、ピッチャーの投げ方も、右腕と左腕を同じような動きにするといいんだ、右腕の動きと同じように左腕を動かすと、右腕の動きもスムーズになるんだ。」(私)
「だから、左腕も下から上に持ち上げるようにすると右腕の動きも下から上にスムーズに動くようになるよ。」(私)
「うん。」(上から下に両方の腕を回している。)(息子)
「全く同じではないから、感覚だけ覚えてね!」(私)
「左腕は下から上に持ってきて、左手が左の肩の高さになったら、今度は、グローブを握るようにして、そして内側に少しひねるようにして、左の脇の下に持ってくる。」(私)
「その時に左腕を引く力を強くすると、自然と右腕、右肘が前に出てくるようになるし、強く引くことで腰が回転して、右腕の振りが強くなるんだ。」(私)
「うん。」(私の動作をじっと見つめる。)(息子)
「こうでしょ!」(私の動作を真似る。)(息子)
「そうそう、それでOKだよ。」(私)
左腕の使い方を教えた際の状況は、こんな感じであった。
続く。
右肘の引き上げ方に引き続き、引き上げた右肘のその後の動き(=投げ方)に付いて、もう少し息子に教えてみよう。球を握った拳を下から上に引き上げる(=右肘を下から上に持ち上げる感じ)部分を前回は教えたが、今回はその引き上げた右肘・右腕が球が指から離れるまでの動きに付いて解説してみよう。
この動きは、絵に描くと実は混乱するかもしれない、というのも、下から引き上げた右肘が耳の高さまで来て、最終的にどのような動きを経て、指から球が離れていくのか、を絵に描くと結構複雑だからだ、複雑というのは、単純な円運動ではなく、肩、肘、腰の動きが連動する事で成し得る動きだから、各関節が自分の意思とは関係なく動いてしまうような動きである為、絵に描いたものを理解・覚えて実践してみようと思っても実は難しい。この部分で、円運動に近いイメージを持ってしまうと、肘が伸びた状態で球を投げるスタイルになってしまうケースがあるので、ここは大切だと思う。
では、どうしたら、それを円運動ではなく、いわゆるピッチャーの肘の使い方になるかというと、短い距離で、例の右肘を下から上に持ち上げるイメージを持ちつつ、球を投げる練習を繰り返す事である。私が息子に教えた際に取ったスタイルは、両足を肩幅程度に開き、投げるというものだった。スナップスローという練習だ、球を指から話す際に、手首を利かせる事を意識して投げる練習であるが、手首を利かせるには肘が伸びた投げ方だと、どうしても肩の力に頼って球を投げてしまう=腕の振りを早くして球速する必要がある。よくフォーム自体は非常にゆっくりなのに球速が早いのは、球を放す瞬間に手首を利かせて投げている為である。これを覚える事がピッチャーとしての投げ方の重要な部分である。手首を利かせて投げる=ピッチャーの肘の使い方、というわけだ。
息子には、右肘の下から上に引き上げるイメージだけを意識させて、更に速い球を投げるように指導した。
「両足を肩幅位に開いて、そこから足を動かさないで球を投げてごらん。」(私)
「こう?」(息子)
「そう、それ位ね」(私)
「そして、球を持った拳を下から上に引き上げるようにして、そしてオーバースローを意識してお父さんに球を投げてごらん。」(私)
「うん。」(息子)
多少、体がそっくり返り気味である部分を除けば、まずまずである。最初は5-6m程度の距離で20球程度投げた、それから10m程度にして、もう少し速い球を投げる練習をする事にした。
「もう少し後ろに下がって」(私)
「(後ろにさがる息子)」
「そう、それ位でいいや。お父さんの胸に向かって、すこし強い球を投げてごらん。」(私)
「うん」(息子)
やはり、腕の振りが大きくなり、円運動のような、それでいて右肘が伸びたような投げ方をした。球を強く投げるという意識がそうさせたのだと思う。これではダメだ。
「あれー!? さっきと投げ方が違うぞぉー! 右肘が下から上になってないぞぉー!」
「こういう風に(右肘をしたから上にする動きを息子に見せる父)」(私)
「オッケー!」(息子)
「力の強い球、速い球を投げるコツは、左手も使う事だよ、投げる相手の胸をグローブを持った左手で指して、グローブを左脇に巻き込むように引く、その反動で、上まで上がって来た右肘が前に出てくるから。」(私)
「うん」(息子)
「そしたら、最後は手首を利かせて球を指から放す。」(私)
「いつか、どこかで聞く言葉だと思うけど、「しなり」っていうんだ。」(私)
「鞭(ムチ)とか、フライフィッシングのロッドの動き、あれを「しなり」っていうだけど、分かる?」(私)
「ムチってさぁー、手元はゆっくり動いているけど、先っちょはものすごく早く動いて、パチンって、なるでしょ!? あれを球を持った右腕でやるんだよ。」(私)
「うん、うん」(息子)
息子の投げる球は、あまり私の胸に返ってこないが、ピッチャーの肘の使い方を覚えつつある息子である。体で覚えるという言葉を使うと、あまり賢くない感じを受けるが、頭で考えても出来ない動きを覚えるには、この感覚を覚える=体に覚えさせるしか手段は無さそうだ。
続く。
「ピッチャー」
小さい子供達は憧れるポジションであるが、これは野球を長く続けていこうとした時に、やりたくてもやれない事が多い、それは、一言でいうと「適正」である。よく言われる事は、球を投げる時のコントロールは練習すれば見に付くが、速い球を投げるのは一種才能である。こればっかりは、いくら練習しても実は見に付かないのだ。この部分に異を唱える方もいるかと思うが、私が言っているのは、高校生以上のレベルで通用するか否か、というレベルでの話である。では、高校生(高校野球)レベルとは、どの程度なのか?という疑問があるが、分かりやすく言うと、球速140km以上の話である。高校野球でも130km台のスピードで通用する事もあるが、更にその上(大学、社会人、プロ)を見た時は、直球が130km台で成功した人はすごく少ない事実から、140km以上という数字を挙げた。130km台の球で通用するのは、せいぜい高校野球までであるが、130km台でも打撃を得意とするチームには打たれてしまうだろう。勿論、130km台のスピードで押さえるピッチャーもいるが、彼らも決して自分の球速に満足していないし、もっと速く投げられたらと思っているであろう。これは彼らの努力が不足したのではなくて、やっぱり「素質」「能力」なのだ。
さてさて、多少前置きが長くなったが、こういう未来を想定(父の希望?)して、息子にはその才能が見えるので(?)、彼に私が今までで経験したものを元にピッチャーとしての投げ方を教えてみようと思う。
前回、基本的な投げ方の内、腕の振り方に付いての基本部分を教えてみた。特に肘の使い方を教えたが、肘が伸びたまま投げない事と、腕が上から出てくるという雰囲気は、どうも掴んだようだ。そして、
息子は、この年齢にしては、球は速い方だ。これなら、先ずは少年野球でピッチャーとしてデビューするのは出来そうだ。今度は右腕の振り方を常に正しくする為に、左腕の使い方を教えてみた。
「人間の体は、左右対称に動くから、左腕を上手に使って、右腕を常に上から投げられるように教えるからね。」(私)
「うん」(息子)
「先ずは左腕(ひだりうで)を下から上にふるイメージで使ってみよう。」(私)
「お父さんがやるのを見ててね!」(私)
「・・・・(父の動作をみる息子)」(息子)
「先ずは球を持ったグローブに左手を軽く添えて、その両手を頭の位置まで持ってくる。その時、同時に左足を30cm位後ろにずらす。」(私)
「・・・・(父の動作をみる息子)」(息子)
「頭の上に持って至った両手を胸の高さに下ろしてくる時に、左足を上げる。」(私)
「・・・・(父の動作をみる息子)」(息子)
「上げた左足をゆっくり下ろすときに、胸にあった両手は、それぞれ離していくんだけど、左右ではなくて、下から上に動かすイメージで回していくんだ。左腕が下から上に動くと、それに吊られて右腕も同じような動きになるからね。」(私)
「うん」(息子)
「踏み出す足は目標に向かってまっすぐ、下から上に回した左腕は、グローブを抱え込むように脇にたたむ、右腕は、球を持った拳が頭の高さ位になったら、右肘を前にだすようにして、そのまま上から下に叩き付けるように右腕を振り下ろす。」(私)
「うん、うん」(息子)
教えた際の状況を文章にしてみると、すごく長いが、実際に目の前で私の投げる姿をイメージで捉えると、それ程大変ではない。と思っているのは父だけかも(汗)
、、、、、が初めての息子には、覚えるのは大変だ。これは数をこなして体が覚えないと話にならない。運動力学の権威が200勝ピッチャーになれるわけではないのだ、当たり前の話だが、繰り返しで体に覚えこませる事が非常に重要な練習である事は、広く理解されているようだが、実際に実践し、実績を残している人は、多くはないではないか? と私は思っている。今の息子に、それを力説しても多分、理解できないだろう事は分かっているが、教えても損はないだろう。その部分はあまり期待しないでおこう。
続く。
速い球を投げるには、「オーバースロー」という考えがある私は、息子にもこの投げ方を教えたい。見たところ、息子は速い球を投げる素質はありそうだ。
右腕の振り方に付いて、少々教えてみた。それ程おかしな右腕の振り方はしていないようだが、最初が肝心である、一旦身についたものを簡単には直せない。
一旦見に付いた腕の振り方は、放っておけばそれが自分の投げ方として染み付いてしまい、以後矯正するのは殆ど無理だ、よくプロ野球で、投手の投球フォームの矯正という言葉を見るが、これは本質的な部分を全く変えてしまうというものではなく、シーズン中に少しずつずれた僅かな部分を直す場合や、肩や肘を痛めたピッチャーが、その部分を傷めないように負担の軽い投げ方に修正する場合、又はその逆にそれを無意識にかばった為に、ずれた部分を修正する場合など、一般の人が見ても分からない程度の修正をフォームの矯正という場合である。従って、根本的に改造する=矯正というケースは殆ど存在しない。私も矯正というレベルでフォームを変えてみようと思って着手した事はあるが、それは結局、他の人には分からない程度の修正で終わった経緯がある。本人にしてみれば、随分と変わったつもりであったが、周りに聞いてみると「???」という程度であった。違いを見てもらう為に見てもらった人がいわゆる素人であったからかもしれないが、逆に高校時代に、同じチームメートから意見を聞かれた時に、本人からこの部分がこう変わったという説明を受けてやっと分かったという事もあった。多分、ビデオに撮って並べてビデオを流せば分かるかもしれないが、動いているものの違いを見つけるのは、間違い探しより難しい。
という事で、投げ方は変えられない、という結論を持っている私としては、スタートが肝心である、という信念を持っている。
さて、さて、息子にも逆に言うと、最初におかしな癖をつけないよう投げ方を教えたいと思う、特に腕の振り方は大事だ。
「右腕は上から下に振り下ろすイメージを頭に持って球を投げるんだぞぉー!」(私)
「うん」(息子)
バシっ! (私のグローブに球が入ってくる音)
結構いい球が返ってくる、いい感じだ! これなら将来見込みありだぞ。(私の心の言葉)
おや? でも少し直した方がいい部分があるぞ、これを放っておくと将来、体が大きくなって来た時に球の伸びがなくなる、いわゆる「ボー球」になるかもしれない。この腕の振り方で私の記憶にあるのは、元巨人軍の水野投手、これも元巨人軍の西山投手だ。この二人共に立派にプロ野球の1軍で活躍した投手なので、これを一概に「ダメな腕の振り方」とは決め付けられないが、私は息子にこの投げ方は教えたくない。(批判しているわけではない事だけは理解して欲しい、苦労した本人のコメントがあるように息子はまだ、これを治すチャンスがあるわけなので、このチャンスを逃がしたくないだけである。)
そう、この「肘が伸びた状態で腕を振る投げ方」は、速球を投げる時には、さほど問題にはならないが、こと変化球を投げる時に、なんせ曲がらないのだ(フォークボールだけは別)、おそらく先に挙げた二人の投手も変化球には苦労したと思うし、実際に試合で投げている場面を毎試合のように見ていたが、カーブなどブレーキの利きが甘いように感じられた。いつか水野投手の談話で「私は肩の強さと度胸があったから投手をしていたが、上半身に頼った投げ方で投手としての理想的なフォームではなかった」、というコメントも聞いた事がある。
やはり、これは今の内に直しておこう。
「ボールを持った拳が下に回ったら、今度は肘を下から上に引き上げるように自分の耳の高さまで持って来て、投げてみて。」(私)
「今からお父さんが横を向いて投げる真似をするから、右肘の引き上げ方を見ててね!」(私)
「うん」(息子)
実際に、右腕の振り方を多少大げさにして、息子に見せた。
「どう、分かる?」(私)
今度は実際に、自分で私の真似をしてみる。先程見られた肘が伸びた感じはなくなった。
「おぉーいい感じだぞ! それを意識しながら球を投げてみよう。」(私)
球を実際に投げても、右肘は伸びて回ってこないようだ、今日はこの右肘の使い方だけ覚えてもらえれば収穫ありだ。
続く。
前回は、球の取り方と取り方を教えている状況を書いてみた。
今回は、球の投げ方に付いて、息子に教えた事を書いてみよう。
これは、前回にも書いたが私はオーバースロー派である、筋肉の付き方や骨格、自身の感覚などで、サイドスローやスリークォーターを選ぶ、又はアンダースローを選ぶ人もいるが、私はオーバースローはだ、息子の適正を見てみようと、遠投をさせてみた。
なんで?
と思う方もいると思うが、人が力いっぱい球を投げる時に、その体に無理なく投げる方法は、その人間の体付きに無理がない方法を自然と選ぶものだ。但し、確かにサイドスローやアンダースローの投げ方をピッチャーとして選んだ人でも、遠投の時はオーバースローやスリークォーターにはなるが、これはその人が意図的に、ピッチングの時に、その投げ方を選んだ、又は近距離で投げやすい為に選んだ投げ方であるからだ。
さてさて、息子はどうだ?
キャッチボールの延長で、少しずつ距離を長くしていった。どうやらスリークォーターっぽい投げ方になっているようだ。息子はスリークォーター派かな?と思いつつも、、、。
「腕を上から振り下ろす気持ちで投げてごらん。」(私)
と30メートル先にいる息子に向かって指示してみた。
次に息子が投げた時には、体を少し倒して、腕が上からでるように彼なりに工夫したようだ。
でも、これをやると体の中心がずれてしまい、更に投げる時に顔が(というよりも両目)が斜めから相手を見ることになるので、コントロールが着け難い。
「じゃー今度は、自分の右ひじが、耳の横を通るように、そして、体を横に倒さないように投げてごらん。」(私)
30メートル先でうなずく息子。
今度はかなり理想的な上半身の形になったが、息子自身は多少窮屈感を覚えているようだ。しかし、
「それでいいよぉー」(私)
この形を先ずは覚えてもらおう。そして、次は腕の振り方に入ろうと思う。ここまで読んでくれた方、野球を知っている方は、気付いた方もいると思うが、私は息子にピッチャーとしての投球フォームを今、教えているのだ。昔の自分の姿を息子に映し出そうとしている自分に気が付く今日この頃である。
続く。
いくぞぉー。
ヒョーイと かなり山形(やまなり)の球を投げた、息子は反射的に、自分の体の正面に来た球に対して、顔を避けて球を取った。
「球がこわいなぁー! でも、しっかり球を取れれば球は自分に当たらないから、逆に逃げるともっと危ないぞ。」(私)
「だから、しっかり球を見て、自分の体の正面で球を受けるんだ。」(私)
「うん」(息子)
今度は息子が球を投げ返して来た、私はオーバースロー派なので、息子にも始めはオーバースローを教えたかった、実は体に無理が無ければ、オーバースローが一番コントロールしやすいからだ、特に球を指先から放すタイミングが覚えられない子供の内は、スリークォーターやサイドスローだと、とんでもない所に投げて仕舞いがちだ。そこで、
「球は、最初は3本の指を掛けて、投げる腕が自分の耳の横を通る気持ちで投げるとオーバースローになるからな。」(私)
「うん」(息子)
投げた球は、キチンと私の元に返ってきた、しかも、この年齢にしては速い。私は、小学校3-4年の頃は、学年で1,2位を争う程球が速かったが、その父の素質を受け付いだのか?!
もう一度、息子に球を投げ返した、今度も顔を避けるようにして球を取っていたが、今度は私から身振りだけで、体の正面で更に両手でグローブを押さえるように、して見せた。
同じ事の繰り返しが20球程度続いただろうか、段々と慣れた様子で、この山なりの球を受けるのは、怖くなくなってきたようだ。
「(なれてきたみたいだ)」(私、心の中)
「その調子だ!」(私)
「うん」(息子)
ちょっと、キャッチボールが楽しくなってきたようだ。
楽しくなるのが上達の早道だ、今日のところはこの辺で終わりにしておこう。
続く
さて、何から教えようか、、、、自分が何から始めたのか、なんて全く覚えていない、、、、。
学校の友達と野球をした記憶はあるが、小学校3年の当時であれば、先ずは一、二学年上の先輩(?)達の真似たのが始まりだと思う。一学年上の小学校4年生の先輩の中に特別上手な子がいた、その子の真似をしたのだ。
しかし、わが息子には近所に野球が上手な子はいそうもないし、子供が自主的に集まって野球をしている姿が見当たらない、、、、(^_^;
仕方がないので、やはり父が教えるしか方法はないのかなぁーと感じ、ここは基本のキャッチボール、しかも球のとり方から教える事にした。球の取り方を教えるという事は、当然それを取った後に投げ返す相手がいる事なので、投げ方も一緒に教える事になる。
1.球の取り方
1)球の軌道を理解せよ。
投げられた球がいきなり自分の所に来るわけではない、つまり、相手が投げた球は投げた相手の手から離れた時点から自分の所に到達するまでの間に作る軌跡(軌道)がどんなものなのか、見てみよう。そして、それを繰り返す事で球の軌道を感覚で覚えるのだ。
2)体の中心で球を受けよ。
球の軌道が多少でも理解・覚える事が出来たら、その軌道に合わせて自分の体の中心に球が来るように移動するのだ。
3)グローブは両手を使うのだ。
慣れてくれば片手で補給する事も覚えなければならないが、最初の内はグローブが硬く、捕球した球がグローブから出てしまうので、両手を使ってグローブに入った球がこぼれない様に押さえるのだ。息子の場合は右利きなので、実際には左手で捕球した球を右手を添える事となる。
この捕球を心がける事で、実は体の中心で球を捕球するというしぐさが自然に身につくという利点もある。
とりあえず、あまり一度に教えても覚えられないだろうし、その技術も習得できないであろうから、球の取り方はこの程度にしておこう。
次回は球の取り方を実際に教えた際の状況を、実況中継式に書いていこうと思う。
続く。
前回は、初めての練習を見学した際に、私が見たものは、、、という内容で終了した。
そう、初めての練習で見たものは、、、、
「おいおい、キャッチボールすらできない子の集団か!これは?」
わが息子も、まぁーほめられたものではないが、こんなんで試合ができるんだろうか?という不安で一杯になった。
試しに隣のグランドでも同じ年代のチームが練習している所だったので、見にいってみたが結果は「同じ」であった。
、、、、「自分もこんなものだったかなぁー???」
そんな質問を自分に投げかけてつつ、練習風景を見学したがふと思い出すと、既に小学4年生の頃はもう少しましだった、、、はず?!である。
とかく自分の思い出というのは、美しくなってしまうものなので、ここは自分の感情を押し殺し、練習が終わったら、早速今週末の親子練習のプログラムを立てる父であった。
次は、本当に初めて息子に野球を覚えてもらう為の練習として何から始めたのかを書いていこうと思う。
続く。