とりあえず形だけは左打ちになった息子。
但し、実際に球を打った事はないので、感覚がつかめてないだろう、今日は近くの公園に行って小さなネットを張り、実際に球を打つ練習をしてみた。
スポーツショップに行けば打っているネット、これはゴルフの家庭用の打ちっぱなし用ネットをもう少し小さくしたようなものだ。ボールは40球程度買った、費用は1球大体350円(高!)であったが、最初にある程度買っておけば後々使えるので、最初の出費は見なかった事にしておこう。
さて、公園に到着。
公園と言っても、小さな野球場と一緒になっているので、バックネットがある。
それに向かってネットを張り、そこに向かって打つのだ。
私は息子の斜め前の球の入った缶に座り、そこからトスするのだ、いわゆるトスバッティングである。
野球の練習風景を見ていると球にバッティングゲージで打っていない選手が、ネットを前にしてトスバッティングをしているのを見かけるが正にそれである。
ちょっと怖い。
なぜかと言うと、なれていない息子が息子の斜め前に座っている私に向かって球を打ってくる可能性があるからだ。斜め前に座っている私がトスした球をネットに向かって打つのが本来の姿であるが、打ち損じて私に球が向かってくるかもしれない、、、、当然、近距離なので避け様がなく、もし球が私に向かってきたら球は命中するだろう。
そんな不安を抱えつつ、トスバッティングを始めた。
「いい、こうやって球を投げる(トス)するから、ネットに向かって打つんだよ。」(私)
「あ、それより、最初にお父さんが見本を見せるから、それを真似してみて。」(私)
急遽、私が最初に手本を見せる事にした。但し、私は右打ちなので、息子には今私が座っている場所と反対の斜め前に座らせた。
「いいよ、投げて(トスして)」(私)
「いくよ!」(息子)
「コキーン!!ズザァー!」球がバットに当たり、球がネットに収まる音。
「はい、もう一球」(私)
「うん」(息子)
「コキーン!!ズザァー!」(同上)
「こんな感じだな、出来るかな!?」(私)
「うん、やってみる!」(息子)
私と息子は場所を移動して、それぞれ役割交代。
「いくぞ!」(私)
「・・・・」真剣に私の手元を見つめる息子
「カツッ! コーン」(球がバットの芯をはずれ、しかも用意したネットに当たらず、公園に設置してある野球のバックネットに球が当たった音。
「うお! 球をしっかり見てねぇー!」(私)
「うん」(息子)
「いくよぉー!」(私)
「コキ、ズザ」(今度は球がバットの芯に辺りネットに命中!した音)
「そうそう、そんな感じ、もう一丁!」(私)
「コキ、ズザ」(同上)
こんな練習を続けたが、前回家で教えた4つの教えは、ボロボロ。
1.スタンス
2.顔の向き
3.バットの握り
4.ブリップの位置
まぁー球にバットを当てる事だけに集中しているので仕方なしか、、、。
「どんどん、お父さんから離れていってるぞぉー」(私)
「自分の立っている位置を見てごらん、知らないうちに下がってるねぇー」(私)
「ほんとだぁー」(息子)
「じゃぁー投げる球をもう少しゆっくり、遅く投げるから、下がらないようにね!」(私)
「うん」(息子)
大体、10球の内、半分はバットの芯に当たっている。という事は半分はカスッているという事だ。まぁー最初だから仕方なしとしよう。その日の練習は結局とスバッティングだけで150球位打った息子、少々顔を赤くして、微妙に汗をかいていた。
次はもう少し形も直してみようかなぁー、特にグリップの位置かな。
続く。
息子は左打ちになった。
いや、左打ちにした、という表現の方が正しい。
でも、私からの説明で何とか左打ちが野球では得をするという事は、納得してもらえたようだ。
しかし、今まで短い期間だったかもしれないが、右でしか球を打った事がない息子だ、「はい、今日から左打ちでバンバン打ちなさい。」というわけにもいかない。
そこで、基本から先ずは教えよう。
本当に基本的な部分から教えた。
1.スタンス
ピッチャーに対して、開いた両足が一直線になるように立つ、いわゆるスクエアだ。
足の幅は、自分の肩幅よりもやや広め。(大体、肩幅から靴の幅にして2足分程度)
2.顔の向き
無理の無い程度にピッチャーに対して正面を向く、その時なるべく、あごは引く。
息子は左打ちなので、彼の右肩にあごが触れる程度の位置にした。
3.バットの握り
剣道の竹刀を持つように両腕を伸ばした時に、両肘の間隔はなるべく開かず。
4.ブリップの位置
これは、実は非常に困った。というのも、あまりバットを立てるように持たせると恐らく振り遅れるだろうと思ったからだ、小学4年生程度の球の速さなら、まだ大丈夫かもしれないが、ちょっと球の速いピッチャーには振り遅れるかも、、、。という事で、今回はミート重視の構えを教えた。イメージで言えばローズ(近鉄、巨人、今年オリックス)のような感じだ。すこし、バットをねかせて、バットのヘッドをピッチャーとは反対の向きにかまえるスタイルである。この状態から、バットを出すと勢いを付けるのは難しいがミートするのには向いている。先ずは球にバットを当てる感覚を覚えてもらう為に今回はこのスタイルにした、但し、後々はもう少しバットを立てたスタイルに変更しようと思う。
簡単に上記のような事を息子にバットを持たせながら教えてみた。
形はOKである。
「じゃぁーこれでバット振ってみて。」(私)
「うん」(息子)
「フーン」バットを振った音。(息子)
(かなり遅い振りだぞぉー、大丈夫かなぁー?!)
「オッケー、オッケー、もう3回くらい振ってみて。」(私)
「うん」(息子)
「ウン、、、、ウン、、、、、ウン」(バットを振るときに漏れる声)(息子)
最初は、左でバットを振ることに慣れるまで、速い振りは期待できないが、日々素振りをすればコツはつかめてくるだろう。
「これを続けていけば、自分の振りになって、体が覚えてくるから、続けようね」(私)
「オッケー」(息子)
次は、実際に球を打つ事で、もっと間隔を掴んでもらおうと思うが、この左打ちの構え方を教えたのは家の中だったので、次回はグランドに行って練習してみようと思う。
続く。
息子は右利きだ。
学校でも、ゴムボールを壁に手で打ちつけて帰ってくる球を次の子が打ち返す遊びが流行っているみたいだが、それも右で打つのが得意のようで、家に帰ってきては、その遊びの話を妻や私に自慢げに話している。子供同士でやるゴムボールとプラスチックのバットの野球では、右で投げて右で打っている。
しかしッ!
私は息子に野球チームに入る前から、左打ちのバットの握り方を教え、実際に左打ちにするように強要した、、、、。当然、今まで子供同士の野球は右で打っていたので、息子にとっては非常に違和感のある打ち方のようで、球が思うように当たらないし、飛んでいかない。
「なんで、右打ちじゃないの?」(息子)
「野球が上手くなりたいなら、今からなら間に合うから、絶対左打ちだよッ!」(私)
「なんでぇ~!?」(息子)
「僕、なんかすごく打ちにくいんだけどなぁー」(息子)
分かる、わかる、その気持ち、でも あの時お父さんが右打ちの僕を左打ちに変えてくれて良かったと思う日が絶対くるからなッ! (と心の中でつぶやいている)(私)
「君は右利きだよね? 右利きの人が多いのは知ってるでしょ?!」(私)
「うん、、、。」(息子)
「それは、右投手が多い、という事でもあるんだよ。」(私)
「そして、右投手を打とうと思った時、バッターボックスに立った君は、左打席に入る事になるんだけど、右投手の手は、君の顔が向いている方向から出てくるでしょ!?」(私)
「逆に右打席に立った時を考えてごらん、今度は君の肩越しから右投手の手が出てくるんだ。どっちが球を見やすいと思う?」(私)
「左?」(息子)
「そう。」(私)
「これが左打者が有利になる1つ目の理由」(私)
「そして、もう一つ重要な事があるんだ。」(私)
「なに?」(息子)(なんだか、まだ納得してない感じだなぁー)
「打者は球を打った後に一塁に向かって走っていくよね!?」(私)
「その時、左打席から1塁までと、右打席から1塁、どっちが近い?」(私)
「左!」(息子) (おぉー!気が付いたか!)
「そう、左、しかも、1m位違うんだ、左打席から1塁に走った方が1mも近いんだ。」(私)
「ショートゴロを打って、右打者だとギリギリアウトが、左打者ならセーフになるんだ。」(私)
「なるほどねぇー、お父さんすごいね!」(息子)(左打者転向近し!)
「そうだ、バット持ってごらん、右打ちの構えをして、そうそう、そして右打席に立ってみて。」(私)
「ピッチャーが球を投げました、カーン!って打った真似してみて!?」(私)
「体はどっちの方向を向いてる?」(私)
「こっち!」(息子)3塁の方向を指差す息子。
「でしょ!?」(私)
「今度は左打席で同じ事してみて!?」(私)
「ハイ、カーンと打ちました! さて、どっち向いた!?」(私)
「こっち!」(息子)1塁の方向を指差す息子。
「もう分かったかな?!」(私)
「打った後には当然1塁に向かって走っていくけど、右打者は打つ時にひねった体を逆に戻しながら1塁に向かって走り出さないといけないんだけど、左打者の場合は打つ時にひねった体の向き、そのままで1塁に向かって走り出せるんだよ!」(私)
「うん!」(息子)
「さっきは、左打席と右打席の1塁までの距離の話をしたけど、それ以外にも体の動き方で左打ちの方が絶対有利なんだ。」(私)
「そっかぁ!」(息子)
「お父さん、何でも知ってるんだね!」(息子)
「でも、お父さんは何で右打ちなの?」(息子)
グサっと来た質問であった、私は右打ちなのだ。
「小さい頃に今のお父さんみたいにお父さんのお父さんが左打ちにしなさいって教えてくれなかったんだよ、だから君はラッキーだ。」(私)
小さい頃は、そんな事考えた事もなかった、遊びで左打ちにした事はあったが、小学校5年生の時は既に右打ちが馴染んでしまっていたし、チームでも4番を打っていたので、左打ちに変更しようもんなら、全く打てない4番打者の出来上がりになっていたに違いない、その時は「時、既に遅し」の状態であったように思う。
「だから、君は絶対左打ちになって成功して欲しいなぁ~!」(語りかけるような口調)(私)
「オッケー、僕、左打者になるよ!」
息子、左打者になった瞬間だった。
続く。
実は心理・心構えが一番大事だったりする。
まぁー考えてみれば当たり前だが、ピッチャーは心理状態でその日のピッチングが変わる。又、心理状態が試合の途中で変化すれば、それがピッチングに影響する、人間なので、当然か。
息子にもそれは教えたいと思う。ピッチャーは、「ノミの心臓」では無理、よくと言われるが、その通りだ、ブルペンエースも同じ原理だろう。ブルペンエース、って?思う人もいるだろうから、少しだけ解説しておこう、ブルペンとは練習中や試合前にピッチャーが投球練習する場所である。そのブルペンでは、そのチームのエースになれる位にすばらしい球を投げるが、いざ試合になるとそのすばらしい球は、なりを潜め、投げれば球は伸びず、コントロールは定まらず、などなど、エースと呼ぶには程遠い存在になってしまうのです。ですので、ブルペンに居る時だけエース =「ブルペンエース」となります。
この心理的な問題を解決するには、人それぞれ治療方法は違うと思うし、また、そのピッチャーとしての経験が無い、又は浅い人にそのブルペンエースにならない為の予防接種を考えてみたい。息子の場合は、まだ試合でマウンドに立って投げた事は、少ないので、どちらというと治療ではなく、予防接種になるかと思う。
「ピッチャーはね、守備に付いている選手の中で、1人だけ、攻撃してるんだよ。分かる?」(私)
いきなり、真髄を付いて話してしまった。
「・・・・・」(分かったような、分かってないような顔だぞぉー)(息子)
「守備に付く、って言葉を使うけど、ピッチャーだけは打者に向かっていく、つまり攻撃なんだ。」(私)
「だって、打者に向かって球を投げるよね? それって守備っていうより、攻撃じゃない!?」(私)
「そうだね!」(やっとピンときたかな)(息子)
「だから、ピッチャーは特別なの、そして偉いの。試合でも目立つでしょ!?」(私)
偉いという言葉は当てはまらないのは分かっているが、息子に対して理解してもらえる言葉として、この“偉いんだぞぉーっ”て言葉が息子には、グサっと印象に残るのではないかと思い、意図的に使ってみた。弱気にならないような心構えを作るには、これくらい大げさな言葉の方がいいではないかと私は思っているが、表現の仕方に違和感があれば、違う言葉を使って表現されてもいいかと思う。
「だからマウンドに上がったら、どんな球を投げて討ち取ってやろうか、なんて考えながら楽しく投げるんだ、打たれたって守備がいるんだし、取ってアウトにしてくれるよ、三振取れなくたって、次に取れるさ、くらいの気持ちで投げるといいよ。」(私)
「そして、三振なんか取れたら、チームのみんなも喜んでくれるよッ!」
「うん!」(息子)
「ピッチャーやるの、ワクワクするだろ!?」(私)
「うん、うん!」(息子)
「それそれ、その気持ちでマウンドに上がるんだ。」(私)
随分と稚拙な講義であったが、まだマウンドに実際に立った経験が少ない息子には、これ以上説明しても彼にはしっくりこないだろうと思って、先ずは良いイメージの先入観だけを植え付けた(つもりだ)。
今後、ピッチャーとしての場数を踏んで来たら、もう少し実践的な話をしてみたい。私としては、そっちの話を息子とする方が、断然楽しい、出来る日が待ち遠しい。
続く
シャドーピッチング、、、、何それ?
と思われる人もいるかと思うので、少々解説したい。たまにプロ野球選手の夕食後の自主練習風景がテレビに流れる時があるが、野手はバットを持って素振りをしているが、ではピッチャーは何をしているかというと、筋トレや必要な間接の広がる角度を大きくする為の柔軟体操、そして、シャドーピッチングである。シャドー・・・・そう、「影」である。自分の影を見つつピッチングフォームの繰り返しにより、体にその動きをなじませ、そして自分の体に、その投球フォームを覚えさせるのが目的だ、「影を見ながら」という部分がシャドーピッチングの語源か否かは定かではないが、目的は先の通り。風呂の時に体を洗う程度の大きさのタオルを1枚用意して、それの片方の先端を軽く結んで、その部分を利き手(右投手なら右手ですね)で軽く握り、人差し指と中指の間から余ったタオルを出す。結びを作らなくても良いが、軽く握る感覚を持たせる為に私は結び目を作って使っていた。
なぜ?タオルを握るの?
と不思議に思った人もいるだろうから、これも少々解説しておこうと思う。
理由は2つ、
1つ目は、何も持たないで、投球動作の時に肩をまわすのは、実際の投球時と異なり、全く負荷が無い状態となってしまうので、急激に肩をまわしてしまい肩を痛めてしまう可能性がある為、それを予防する目的がある。
よく聞く話だが、硬式の野球をやっていた経験者が、ある時草野球を始めて、硬式のつもりで軟式のボールを投げていると「肩を痛める」・「肩を壊す」、という厄介な状況におちいる。軟式のボールは、ある程度重さはあるものの、硬式のボールよりも軽く、そして軟らかい為、昔の硬式野球のつもりでボールを投げていると・・・・「痛てぇー」となってしまうである。私もその経験者だ、高校野球の経験者だというだけで、地元の草野球からスカウトがあり、私もそろそろ、もう一度野球を始めたいと思い始めていた大学2年の頃・・・・やってしまいました。その当時は、結構な痛さで本当に外野からバックホームが出来なかった。
というような理由から、肩に負担が掛かるような状態でシャドーピッチングをしないようにする為にタオルを使用する。
2つ目の理由は、「スナップ」の効きを耳で確かめる為である。
これを読まれている人も、一度タオルを持って振って見ていただければ、ご理解頂けると思うが、投球フォームでの最後の指から球が離れる瞬間、手首をしならせてフィニッシュする、これが野球用語で「スナップを効かせる。」というものである。そのスナップの際に握ったタオルもその瞬間に勢いよく、振られるので、「ブンッ!」と音がするのである。これをシャドーピッチングの際に、実際に耳で聞きながら、自分の行っている投球フォームが正しいか確認するのである。
さて、息子にもシャドーピッチングを教えてみよう。
これは、庭に出てドアにあるガラスに自分を映し出しながら行うか、部屋の鏡の前で行うかだが、教えた時は、外が暖かかったので、外のガラスに映しながらやるように教えた。
「やる事は、この前教えた5つのポイントを自分でしっかり確認しながら、繰り返して、そうだなぁー30球を1セットにして、2セットはやって欲しいなぁー。」(私)
「これはね、投球フォームを体に染み込ませるのが目的で、繰り返しやる事で、体がその動きを自然に覚えるようにするんだ、フォーム固め、っていう言葉を使うんだけどね。」(私)
「うん、タオルは持ってきたけど、こんなんでいいの?!」(息子)
「それでいいや、先っちょを軽く結んでね。」(私)
「うん。」(息子)
「これは、逆にいうとヘンな投球フォームで練習すると、そのへんな投球フォームを体が覚えちゃうから注意してね。5つのポイントを守れば大丈夫だから。」(私)
「但し、本当に投げるように腕を振っちゃダメだぞ、肩イカれるからね。」(私)
「オッケー!」(息子)
庭でシャドーピッチングをする事にしたが、息子はサンダル履きである、まぁーいいか、最初だし。
「最後、スナップを効かせて、ブンッ!って音がするようにするんだけど、さっきも言ったけど、そのブンッ!って音は、腕を力いっぱい振って鳴らすんじゃなくて、スナップで鳴らすんだぞ。」(私)
息子のタオルを受け取り、私がガラスの前で実践してみせた。
毎日とは言わないけど、週に1-2回はシャドーピッチングもして欲しいと思う父であった。
続く。
一概にピッチャーが投げる球のコントロールの付け方と言っても、色々な方法がある。特にまだ球を握る手が小さい小学3-4年生であれば、人差し指と中指の2本を縫い目に掛けて投げるのは難しいので、今の段階では、更に薬指を足して、3本の指を球の縫い目に掛けるようにさせた。そして、更に投球フォームを支える体の筋力も十分ではないので、常に一定の動作を繰り返す事を念頭にコントロールの付け方を教える事にした。それには、体の動きに無理がない事が前提である。それとやはり前回も書いたが目標に対して、目線を切らない事だ。
私が息子に教えたコントロールの付け方のポイントは5つ。
1.キャッチャーミットから目を放さない事。
人間の自然の動きとして、目で見ている方向に体が自然に動く原理を利用しよう。
2.右腕・右肘の動きは、下から上にする事=オーバースローにする事。
オーバースローであれば、とんでもなく逸れてしまう事を防げるし、上下の高さだけに気を付ければいいので、これは指から球が離れるタイミングのみで、調整できるようにしよう。
3.左手は、投球動作の際に、キャッチャーミットを目掛けて差し出す事。
キャッチャーミットを左手で指すことで、今から投げる目標の意識付けをしよう。
4.踏み出す左足は、キャッチャーに向かって真直ぐにする事。
右腕が下から上に上がり、更に目標に向かって一直線になるような動作をしよう。
5.右足の膝は深く曲げない事。
投球動作の最中に自分の頭が極端に上下に動かないようにして、目線を一定にしよう。
これでも、ポイントは多いと思うが、まぁー5つまでなら、頭で思い出す事も出来るだろうと思って5つに絞ってみた。上に挙げた5つのポイントは既に息子には教えた事だが、段階を経て教えたので、どこか欠けている事もあるだろうと思い、一応簡単にまとめてみた(つもり?)。
「さぁー、マウンドに上がったつもりで投げてごらん。」(私)
「うん。」(息子)
「・・・・・(黙って投球動作にはいる息子)」(息子)
「ウンっ!(球を投げた時に自然に漏れる声)」(息子)
「うしっ!」(ちょっと、球が高くて背伸びした際の私の声)(私)
「パシっ!」(球がグローブに収まった音)
「少し腕が横から出てるなぁー、頭は横にしないで、右腕が耳の横を通るイメージね!」(私)
「はーい。」(息子)
「よし、もう一丁!」(私)
この後、30球位は投げただろうか、5つのポイントはまだ掴みきれていないようだが、感じは理解したようだ。フォーム固めが出来るように、シャドーピッチングを今度は教えてみようかと思う。
続く。
左右の腕、左右の足、と基本的な部分は大体教えた。
次は、頭の動きや目線の取り方を教えた際の状況を書いてみた。
当然、ピッチャーは球を投げる時にキャッチャーを見るが、投球動作の初めから終わりまで、ずーと見ているのが理想とされている。中には元巨人の岡島投手のように球が指先から離れる瞬間は、キャッチャーを見ずに地面方向を向いている投手も中にはいるが、あれは例外だと思うし、現にあの投球フォームは直そうとしたが、それが岡島投手の持ち味であると直さなかった、というエピソードがある、と聞いた。
理想はキャッチャーミットから目を放さない事(目線を切らない、という言い方をしたりする。)ではあるが、塁上にランナーが入れば、そうもいかない。特に右投げの場合は、3塁ランナー、左投げの場合は、1塁ランナーとどうしても、視線にその動きが入って来てしまう場合、目線が一瞬切れてしまう事もある。よくランナーが気になって暴投したというコメントを聞くが、目線が切れてしまった、という事でもある。
又、ピッチャーには、その人の感覚で、投球動作に入る時には、キャッチャーミットを見ているが、途中一旦目を放し、また球が指先から離れる際には、再度見るようにするなど、その人の感覚でしっくり来るものを選ぶ場合もある。
私の場合は、目線が切れていたのを、常にキャッチャーミットに向ける努力をした成果で、多少コントロールが良くなったのを覚えている、ある時期(高校野球をやっている間で、ほんの短い期間、、、2ヶ月程度だったかなぁー)、キャッチャーのかまえるミットに、殆ど狂い無く投げられる自信があったし、実際にバッティングピッチャーをしている時も、面白いように自分の思った通りの場所に投げる事が出来た。多分、あの時期に9分割の的当てに挑戦していたら、随分と良い結果が出た事と思う。
これは蛇足だが、車の運転の時に、センターラインを見て急なコーナーは曲がるべし、と聞いた事がありませんか?!(よくある山道・峠道のグニャグニャした道を想像して頂いてもOKです。)
その時には、コーナーの内側、つまりセンターラインを見て曲がると比較的楽に曲がる事が出来るというものだ、逆にコーナーの外側、縁石やガードレール、道幅を示す線などを見ながらコーナーを曲がると恐怖感一杯のコーナリングの出来上がりである。
これは人間の脳みそが目から入った情報を処理する際に、起こす反射に起因していると思われる。
スキーやスノボーにも同じ現象がある、初めてスキーを習った時には、ターンをする時は、ターンする先を見ろ、と教えられた。見た方向に対して、体が自然に反応するのを利用したものですね。逆に予想外にスピードが出てしまい、怖がって自分の向かっている方向だけを見ていると(ターンしたい方向は見る余裕がない)どんどん、そちらのほうへ向かって行ってしまうのだ、だから怖くてもターンしたい方向を見る習慣を付けると教えられた。
という事で、球を投げる時は、キャッチャーミットから目線を切らない。という行為が実は体が自然と反応する原理を利用するというものだったのだ。
「ここ見て!(私の持つグローブを揺らす)」(私)
「ここ、ここ!(またもや私の持つグローブを揺らす)」(私)
「・・・・・(黙って投球動作に、はいる息子)」(息子)
「・・・・・(じっと、その息子を見つめる父)(私)
「パシっ!」(息子の投げた球が私のグローブに収まった音。)
「それそれ、そんな感じだよ、その感じを忘れないで!」(私)
「うん。」(息子)
「もう1球、いこうか!」(私)
「・・・・(黙って、投球動作にはいる息子)」(息子)
「パシっ!」(再度、息子の投げた球が私のグローブに収まった音。)
「いいねぇー、まるで本物のピッチャーみたいだ!」(私)
「投げた感じは、どう? へんな感じする?」(私)
「大丈夫! 僕覚えたよ!」(息子)
という返事を一応信用する父でした。
続く。
またまた、ピッチャーとしての足の動き方・使い方の話だが、今回は左足に続き、右足である。
右ピッチャーとしての右足は、“軸足”である、勿論、大変重要な部分だ。投球フォームのバランスの崩れは、体の軸のブレである事も多いことから、右足の使い方を息子に教えてみた。
実際はプレートの踏み方もあるので、本当はマウンド上で教えるのが一番いいと思ったが、そんな都合の良い時間(日曜日の昼過ぎ)に球場が空いているわけがなく、自宅近くの公園にて教える事にした。従って、今回はプレートさばきのご指導はなしとした。(実践で投げるようになったら、また教えようと思う。)
右足の使い方で注意する点は、右ひざの動きである。右ひざを全く微動だにしないで投げるのは無理であるが、左足を高く上げようとして、勢いを付けるあまり、右ひざを深く曲げて投げる姿を見た事があるがコントロールをつけるという観点からはあまり関心しない。但し、これも人それぞれ、向き不向きがあるので、実際に深く右ひざを曲げて投げてもコントロールに問題がない人は、逆に左足を高く上げる面では効果的なので活用されるものであるかもしれない。私はどちらかというとコントロールは良い方ではなかったので、コースに投げ分けて討ち取るピッチャーには憧れた、が反面、球威で押さえてやる!という気持ちが強かったので、コントロールを良くする方法に付いてはあまり関心は無かった。
又、ここで私の高校時代の話を1つ。(まぁまぁーオヤジの昔話と思って聞いて下さい。)
私の所属していた高校は、春の選抜高校野球大会に出場した、いわゆる“春の甲子園”である。当時、先輩の一人にその後プロ野球スカウト(=ドラフト)された左バッターの強打者がいた。ホームランの数も当時の高校球児の中では全国1-2位だったはずだ。
私は、その先輩のバッティング練習の時に、バッティングピッチャーをするのが大変好きであった。一日に投げる球数は200球程度になるのだが、その先輩の順番が来るまで、7-8割の力具合で投げていた。(つまり、手抜き?だったかも、でも200球も全て全力投球できませんよぉー、毎日毎日は、ホントに)
そして、先輩の順番が回ってくると、「本気モード」である。心の中では「勝負!」と呟いていた、戦闘体制です。その先輩もそれを知っていて、打席に入ってくる。そして、私の投げるゲージ(これ分かりますかね? ゲージって言葉、バッティング練習の時に使用するんですが、バッターを正面以外覆うようにされたフェンスです。)に先輩が入って来たら、もう試合で自分が投げているかのような心境になります。さっきまでは、ただのバッティングピッチャーでしたが、今は違います、そう私は試合の中で投げているピッチャーの心境に、そして、一球入魂!
「(よっしゃー!)」(心の中で気合を入れて)(昔の私)
それから、大きく振りかぶって、ど真ん中にかまえられたキャッチャーのミット目がけて、
「シュッ!」(多分、球が指から離れる時の音)(昔の私の指の音)
「カシュッ!」「ヴィーン」(ファウルチップして球がゲージのネットに当たった音)
本日の1球目は、先輩が私の速い球になれていないのか、球の下をバットで叩いた。そして2級目。
「シュッ!」(またもや、球が指から離れる時の音)(昔の私の指の音)
「カッ!」(竹製のバットでセンター方向にライナー性の辺り。
私の所属していた野球部は、バッティング練習の際には、大会前や練習試合前の調整に入る前までは、竹製の少々思いバットで練習していた。(今思えば、あんな思いバット高校生になると振れるんだなぁー、高校生の肉体はすごいよぉー、中学生では年齢が1つの違いでも真似出来ませんもん。)
先輩は大体10球程度打ってから、次のゲージに移っていく、全部で3つのゲージを一度にグランドに置いてバッティング練習を行うので、バッティングピッチャーも一度に3人が必要であった。
本日の3-10球は、ヒット性の辺りが2本とまぁまぁの出来であった。但し、先輩は竹製の重いバットである事を考慮すると、やはり私の負けであった、、、、涙。
今後又、どこかで、この先輩との勝負に付いて書かせてもらいたい、私の高校野球の思い出として、この先輩は大きな存在であったし、私への影響も多分にあったからだ。
さて、さて、前振りが異常に長くなってしまったが、私がマウンドでバッティングピッチャーをした際に出来た左足の踏み出した跡は、キャッチャーに向かって引いた線上から、約足の幅1つ左にずれていた。これでも修正した結果である。(野球教室では、足の幅1つ分位はOKと指導しているので私もOKの範囲でしたね。)
修正前は、2つも3つもずれていた時がありました、これは上半身に頼って投げる、下半身を使っていない投げ方になっていました。左足が一塁方向に2つも3つもずれるという事は、投げる際に“体が開く”(という言葉を使います、野球用語では)状態になっていた、という事です。体が開くと折角溜めたパワーが球に乗らずに逃げてしまっていたのです。それを修正したのが、右足の使い方でした。(おっ、やっと本題になってきましたね、すみません。)速い球を投げたいが為に左足の振り上げを意識しすぎて、右足のひざを深く折り曲げて、その曲がりを伸ばすときの反動を利用して、左足を高く上げていたのでした。これを深く曲げないよう投球フォームを変えて、左足のでる位置を修正する事にしました。この修正に付いては誰も教えてくれませんでした、他のチームメイトもライバルですし、アドバイス出来るほど、みんな完成された投球フォームではありませんでしたので、ブルペンで投球練習をする先輩や同僚の姿を見て直しました。踏み出す左足のズレに気が付いたのは、先に少し書いたバッティングピッチャーをやっている時でした、前のバッティングピッチャーの投げた跡は、自分より真っ直ぐに踏み出されていたのです。
そんな教訓から、息子には、左足を真っ直ぐに踏み出すコツとして、更に投球時の体の中心がズレない(ぶれない)コツとして、右足のひざの曲げを深くならないように教えました。
「右足の使い方だけど、ひざを曲げて、その反動で左足を上げると良くない事が3つあるんだ。」(私)
「うん。」(息子)
「1つは、球を投げる時に、体の中心がぶれる事、2つ目は、キャッチャーを見る目が上下に動く事、そして最後は、踏み出した左足がキャッチャーに真っ直ぐに向かいにくくなる事。」(私)
「うん。」(息子)
「だから、こうやって左足を上げる時は、あまり深く右のひざを曲げないようにして。」(左足を胸の高さまで持ってきた状態で静止!)(私)
「OKわかった、やってみる。」(息子)
目の前にお手本があると、イメージが掴みやすいのか、私の縮小コピーのように同じ動作をやってみる息子であった。
「そうそう、そんな感じ、いいよ、それで。」(私)
ちょっとずつではあるが、ピッチャーの投球フォームになりつつある息子であった。
続く。
ピッチャーの投げ方としての上半身の使い方は、少々ぎこちないが、まぁまぁー理想通りの動きをマスターした息子に今度は、実際に投球する際の左足の使い方を教えてみた。
全身の力の入れ具合は、ピッチャーそれぞれ勘所があると思う、このように書くとピンとくる人と全く意味が分からない人がいるかと思うので、少々解説してみたい。この解説はあくまでも、私の経験によるものなので、同じ感覚になって頂ける人もいれば、そうでない人もいるかと思うが悪しからず。
私が小学生・中学生の頃は、よくテレビでプロ野球の試合を見た。その時に、ピッチャーが打者に対して投球する場面が映し出されるが、それを見て、自分でテレビの前で真似をした事を覚えている。(さんまの小林投手の物まね、=少々古いですね(^_^; のようなものでした。)そういう時に、両手の振りかぶり方、右手の動き、左手の動き、それと左足の上げ方、色々なピッチャーがいるので、それぞれの試合の時に一応全て真似てみる、そうすると自分の投げ方(=自分のピッチングフォーム)にしっくりくるピッチャーがいるものだ。小さい頃は、速い球を投げるピッチャーの真似をした、憧れからだったと思う。私の場合は、左足の振り上げ方=左足の持ち上げ方に興味があったのだが、この時、左足のつま先を意識した。左足のつま先を地面に向けて、真上に引き上げるようにし、左ひざを胸の高さまで上げる。これと異なり、左足のつま先は、サード方向に向いたまま、左ひざを胸の高さまで上げる、これは逆にいうとやや左足のかかとが地面に向くようになる。
この2つの左足の上げ方を交互に行ってみると、私はつま先が地面に向くスタイルがしっくり来た。これはより左足のひざが胸の高さまで上がりやすく、体の中心がまっすぐになったように感じるのだ。そうすると次は、その体の中心がまっすぐになった感覚から、右腕の動きがスムーズに行えた。これは筋肉の動きがどこかで繋がっているせいだろうか? 理論は分からないが、ピッチャーの投球フォームの感覚というものは、そんな曖昧なものである。この感覚を掴んでもらおうと思い、息子にも左足の上げ方・使い方に付いて教えてみた。
「両手を振りかぶって、左足を上げる時に、左足のつま先を地面に向けて、納豆の糸が引くようにゆっくり引き上げてごらん。」(私)
「左足のひざが自分の胸の高さまで上がるようにするんだよ。」(私)
実際に、その動作を息子の前で見せてみると
「うん。」(私の動作を真似る。)(息子)
真似てはいるが、当然足腰が弱いので、左足を胸まで上げる内に、体はフラフラしている。まぁー仕方がない、私もそうだった事を覚えている。(高校1年位までフラフラしていたような、、、。)
「そんな感じ!」(私)
「今度は引き上げた左足をゆっくり下ろすんだけど、多少お尻をキャッチャーに向けるようにする。そして、下ろした左足は真っ直ぐキャッチャーの向きに踏み出す。」
息子の前から私に向かって、地面に線を書いた。
「この線に左足が乗るように投げるんだよ。」(私)
「うん。」(息子)
もう一度、やってみる息子、練習の時は、その事だけを意識しているせいか、上手く線の上に左足が載っているようだ。
色々教えたが、子供は体に癖があまり無いので、吸収が早いが忘れるのも早い。キャッチボールの時も踏み出した左足は投げる目標に向かって一直線がいいだよ、と息子に伝えた。
続く。
第11回
では、ピッチャーとしての投げ方を教えてみよう。
(左腕の使い方編)
右腕を効率よく振る為の左腕の使い方、前回のスナップスローで右肘の使い方のコツを掴んだ息子に、引き続き、左手の使い方を教えた。5-6mの近距離でのスナップスローでは、右肘の使い方=右腕の動きを覚えた息子に今度は、左手の使い方を教えてみた。先ずは、、、、、。
「気を付け、の姿勢をしてみて!」(私)
「グローブを持った左手は、気を付けの位置のまま、スナップスローをしてみよう。」(私)
「両足を肩幅位に開いて、右肘の動きに気を付けて、オーバースローねぇー!」(私)
「うん」(息子)
「んしょぉー!」(息子)
4-5球、同じ要領で投げさせてから
「投げ難いでしょ?!」(私)
「う、うん」(息子)
「どうしてか分かる?」(私)
「うーん、分かんない。」(息子)
「人間の脳は、左右別々の動きをするのが苦手なんだよ、右手でグー、チョキ、パー、左手でパー、グー、チョキって、両手を前に出して、やってごらん。」(私)
「うーん、、、あれー?!。」(グー、チョキ、パーと左右の手でやってる。)(息子)
「ね! 難しいでしょ! でも両手共にグー、チョキ、パーだったら簡単でしょ!」(私)
「うん、出来る、簡単!」
「だから、ピッチャーの投げ方も、右腕と左腕を同じような動きにするといいんだ、右腕の動きと同じように左腕を動かすと、右腕の動きもスムーズになるんだ。」(私)
「だから、左腕も下から上に持ち上げるようにすると右腕の動きも下から上にスムーズに動くようになるよ。」(私)
「うん。」(上から下に両方の腕を回している。)(息子)
「全く同じではないから、感覚だけ覚えてね!」(私)
「左腕は下から上に持ってきて、左手が左の肩の高さになったら、今度は、グローブを握るようにして、そして内側に少しひねるようにして、左の脇の下に持ってくる。」(私)
「その時に左腕を引く力を強くすると、自然と右腕、右肘が前に出てくるようになるし、強く引くことで腰が回転して、右腕の振りが強くなるんだ。」(私)
「うん。」(私の動作をじっと見つめる。)(息子)
「こうでしょ!」(私の動作を真似る。)(息子)
「そうそう、それでOKだよ。」(私)
左腕の使い方を教えた際の状況は、こんな感じであった。
続く。